「汚辱の世界史」
わたしは博識だと言われる。正しくない。知識は広いが、たいしたことはない。わきあがる好奇心を満たすように、新書本の一冊か二冊読めば好奇心は満たされ、その先まではいかない。その程度である。薄っぺらい。だから「薄識」だと自覚している。博識なら、いまごろ研究室に閉じこもっているはずだ。
で、その「薄識」のひとつ。南米の作家ボルヘスの『汚辱の世界史』を読んだ。なぜボルヘスかは自分でもわからない。短編集である。『悪党列伝』というタイトルだったものが岩波で文庫本とする際にこのタイトルとなった。
そのなかに「吉良上野之介」がある。なぜボルヘスが忠臣蔵の世界にたどりついたかはわからない。悪党というのも理解できないが、忠臣蔵の世界がボルヘスを刺激したことは間違いない。
その中に薩摩武士が登場する。祇園で飲んだくれうつけを演じていた大石良雄は茶屋の店先で反吐にまみれていた。通りかかった薩摩武士は、大石を見て武士の風上にも置けぬ者と唾を吐きかけた。
のちに仇討ちを果たし切腹した大石の墓の前で、薩摩武士は唾を吐いたことをわびた。そして切腹して果てた。というエピソードが紹介されている。
わたしは歌舞伎の忠臣蔵を通しで観てはいない。義士外伝も講談や落語でとびとびに知っている程度である。この薩摩の武士のエピソードは知らない。
忠臣蔵のサイドストーリーとしておもしろい。そのエピソードが、遠い南米のボルヘスまでどのように届いたのか。好奇心をくすぐるのだが、どう調べたらよいかわからない。どなたかご教授願えないかと思っている。
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