棋士の一分
元プロ棋士の橋本崇載容疑者を鑑定留置するとの記事が新聞の片隅に載っていた。
橋本容疑者は元妻とその父親を鍬のようなもので殺そうとしたとして逮捕されていた。天才肌の棋士でA級まで上りつめた棋士だった。NHK杯では金髪、派手なシャツ姿で登場したのを記憶している。
『棋士の一分』という著作がある。将棋界の将来を憂える内容だった。もう一度読み返そうと本棚を探したが見つからない。本を整理する際、捨ててしまったのかもしれない。
記憶をたどって内容をまとめると、このままでは将棋界は衰退してしまう、将棋教室も経営が成り立たなくなっている、将棋人口は減っている、将棋連盟の改革が必要という趣旨だった。背景にはAI将棋にどう対処したらよいかという棋士の戸惑いもあった。
それなりの説得力はあったが、これらの問題を一気に吹っ飛ばす事態となり、橋本の杞憂は雲散霧消した。藤井聡太の出現である。プロとなり、あれよあれよという間に昇段し、今や7冠となり、あと一つでタイトルを全制覇するまでになった。
一躍、将棋ファンは広がり、将棋教室も活況を呈することになった。藤井七冠が昼飯になにを食べたかまでがニュースとなり、将棋バブルは絶頂期を迎えている。藤井聡太の活躍で橋本の杞憂は吹っ飛んでしまった。
気分にうかれるのもよいが、今はバブルの絶頂を考え、さらに先を見据えて、将棋界の将来を考えてみるべきだろう。たとえば、海外普及の強化とか。
話題をさらに盛り上げるには、藤井聡太からタイトルを奪取することだ。挑戦者には、棋士の一分、意地でぶつかっていってもらいたい。こっちは、何度も書くが、中学高校の先輩だから、八冠をとるまでは藤井を応援するけど、そのあとは、挑戦者の一分に声援を送るつもりだ。
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