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2023年11月14日 (火)

虫押さえ

  深夜、ときどき「ラジル★ラジル」(NHKのインターネットラジオ番組)を聴いている。「深夜便」ではなく聞き逃しサービス。

 久保田万太郎の随筆に「虫押さえにビールを飲んだ」というくだりがあった。意味はわかる。腹の虫が鳴かないようにビールをひっかけたということだろう。昭和の初めのころの文章である。

 腹の虫がグーっと鳴かぬようにとの意味で「虫押さえ」をつかうことはちかごろではない。

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 国語辞典を引いてみるとふたつの意味が載っている。①子供が泣かぬようにと飲ませる薬。②腹の虫が鳴くのを抑えること。

 おもしろいことに、三省堂国語辞典はふたつを載せているが、新明解国語辞典は①の方しか載せていない。②の方はそれほど使われていないとのことで記載を見送ったのだろう。

 むかしは、腹の中には虫がいると信じられていたようで、腹の虫に関連したことばや表現がいくつもある。

 虫封じ、虫ふさぎ、虫養い、カンの虫、虫の知らせとか、腹の虫が治まらない、虫の居所がわるいなどを思い浮かべる。落語には「疝気の虫」がある。

「三尸(さんし)の虫」もある。庚申の日に眠ると、三尸が抜け出て天帝にその人の悪業を告げるという。だから庚申の日は眠つてはならないという信仰がある。庚申は60日に一度巡ってくる。逆に言うと、この日ばかりは夜更しが許されるとなってバカ騒ぎができる。

 はなしを戻して、虫押さえ。三省堂国語辞典(第7版)では 「虫押さえにめしあがってください」を用例としてあげている。こういう表現、いちども聞いたことも目にしたこともない。

 虫押さえにビールという表現はいい。宴席まで時間がある。小腹がすいた。ちょいと一杯のビール。ひとりゼロ次会。ひとりウエルカムドリンク。

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