熊と夜刀の神
奈良時代にまとめられた「常陸風土記」の夜刀の神伝説がある。
夜刀はヤトと読む。ヤトは谷戸で、こちらもヤトと読む。低湿地を指す。夜刀の神は低湿地にすむ怪物である。谷戸を開拓すると、夜刀がじゃまをする。人を傷つけたり、ときに殺すこともある。夜刀の神はまむしの化身であると思われる。このまむしを退治すべく武者が乗り出し、夜刀と戦って山に追い払った。そして人の領域(里)と夜刀の領域(山)をわけるよう境界に社を建てて、夜刀の神のたたりを鎮めるようにした。
まむしを殲滅させたわけではない。境界をつくり、里に出てこないようにしたという伝説である。むかしから里と山の領域を分ける発想はあった。
熊の人里への出没が続いている。それで、この夜刀の神伝説を思い出したわけだ。
熊を駆除すると、一方で殺すなという声があがっている。むやみに殺すこともないけれど、なんにも対策をしないわけにはいかない。こっちに来るなという対策は必要だろう。
柵を設けるとか、人家に近づかぬよう熊が嫌うガスを噴霧しておくとか、鉄砲だけが策ではない。
ここ数日、熊の出没のニュースはない。寒くなったからか。まもなく冬眠に入る。なかには腹をすかせて眠るわけにはいかないという熊もいるかもしれない。
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