『悪逆』
目が悪くなり、本を読むペースが落ちた。長時間の読書も目が疲れる。以前より時間はかけられない。長編小説は読むのをよそうと思うのだが、ついつい手を出してしまう。
黒川博行の『悪逆』は550ページを越す。ちょっと前なら1日100ページペースで読んだが、今はダメ。それでも10日ちょっとで読み終えることができるが、そうもいかない。外出などで読めない日もある。年末年始をまたいでようやく読み終えた。
黒川作品は面白い。バディものが多い。今回は二人の刑事が主人公だが、犯人の動向も織り込んでいる。
車のナンバーを巧妙に書き換えるところから始まる。犯人は周到に準備し、金持ち宅に侵入する。あらっぽい手段で金の延べ棒の在処を聞き出し、被害者を射殺する。現場に証拠品は残さず、防犯カメラのカードもたたき壊す。拳銃や衣類も見つからぬように捨てる。証拠品はない。
この犯人をふたりの刑事が追う。手がかりがない。あらたに似たような事件が起きる。被害者に共通するのはまともに稼いだ金ではない。サラ金で不当に稼いだ金、マルチ商法、新興宗教。表に出せない現金や金の延べ棒を秘匿している。これを狙った犯行だった。
盗ったのはインゴットのない金塊。 換金しなければならない。警察は、そこから犯人像を絞り込んでいく。偽ナンバーもNシステムによる解析から車を特定する。この追及プロセスがおもしろい。最新の捜査技術や紹介され、手抜かりはない。
二人の刑事の会話は、黒川作品にしてはユーモアは抑え気味。そうしたわけはあるだろうが、ファンとしてはもっとハチャメチャであってもよいと思う。
この手のものでは、犯人が逃げ切るのを期待することもある。本書もそうだ。
映画なら、逮捕寸前、あるいは逃亡寸前でエンドマークがでるものもある。映画「太陽がいっぱい」のラストのような・・・。と書いてはみたものの、若い人は「太陽がいっぱい」を知らない。
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