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2024年2月 9日 (金)

「PERFECT DAYS」

 役所広司がカンヌ映画祭で男優賞を受賞した「パーフェクト ディズ」をアートセンターで観てきた。監督はヴィム・ヴェンダース。舞台は東京、出演者も日本人。セリフも日本語。ふつうの日本映画である。

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 平山(役所広司)は澁谷の公衆トイレの清掃員。平山の日常が描かれる。仕事はきちんとこなしているが、寡黙で友人はいない。仕事が終われば銭湯に行って浅草の居酒屋で一杯。夜寝る前には古本屋で買った文庫本を読む。幸田文とかパトリシア・ハイスミスとか。

 平山は時代遅れの男である。音楽はカセットテープで聴く。オーティス・レディングとかアニマルズ。たまに行くケスナックではママ(石川さゆり)が「朝日のあたる家」を日本語で歌う。胸のポケットに入れているカメラはフィルムカメラ。昼に公園の木洩れびを撮る。

 昭和である。時代遅れだけど、それが居心地よい。河島英五の「時代おくれ」の歌詞を思い出す。目立たぬように はしゃがぬように、似合わぬことは無理をせず・・・。

 平山にとって、パーフェクトディズとは、居心地のよい日々ということか。波乱もある。同僚の若者に振り回されたり、家出してきた姪の面倒をみたり。それもさざ波程度のことでルーティンを崩すことはない。

 本好きにとっては平山の読書傾向に興味がいく。幸田文の「木」、フォークナーの短編集、本の題名はわからなかったがパトリシア・ハイスミス。ハイスミスには「アメリカの友人」などの作品がある。「太陽がいっぱい」の原作は彼女だ。いずれにせよ、渋い。

 ヴェンダース監督は、穏やかな日々のなかに人生の歓びも小さな悲しみがあることを描いている。それが平穏なパーフェクトな日々なのだ。

 役所広司のほほえみが印象に残る。いい映画だ。お勧め。

 もうひとこと。ヴェンダース監督は小津安二郎を敬愛していることはよく知られている。平山という名は「東京物語」で笠智衆が演じた主人公の名前と同じである。

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