「その鼓動に耳をあてよ」
東海テレビは「人生フルーツ」とか「ヤクザと憲法」などドキュメンタリー映画で高い評価を得ている。その最新作「その鼓動に耳をあてよ」をアートセンターで観てきた。緊急救命病院にスポットをあてたものである。
名古屋の港近くにある掖済会病院。患者を断らないことを旨としているER(緊急救命病院)である。24時間365日、緊急の患者が救急車でやってくる。コロナ禍でベッドは満員、医師もたりない。受け入れ先をようやく捜し当てた救急車もやってくる。病院は何とかやりくりをして患者に向き合う。事故で釘が刺さった人、鼻にドングリを詰まらせてしまったこども、路上で倒れたホームレス・・・。
映画は研修医にスポットをあてる。二年間研修医として医療業務に就き、その後、内科や外科に進むか、そのまま緊急科に残るかの選択をする。緊急科医は専門医より下に見られてきた。忙しいし、専門知識や技能となると専門医にはかなわない。だから緊急医を選ぶ人は少なくなっている。しかし、ERに意気を感じ、続けようとする医師も確実にいる。
この掖済会病院は、かつては普通の町医者だった。それが患者を断らないことで次第に患者は増え、病棟も大きくなっていった。名古屋南部ではなくてはならない病院となっているが、経営は厳しい。しかし、忙しさにかかわらず離職率は低いという。
テレビ放送のドキュメンタリーと違ってナレーションはない。テロップも最小限にしぼっている。BGMもほとんどない。
映画に集中できるのは映画館に限る テレビやネット配信では気が散ってしまう。音響もいい。
ついでのひとこと
久しぶりに漢和辞典を開いてみた。掖という字。読みはエキ。あまり目にしない漢字だ。意味は多きくふたつある。①わきのした ②たすける。この病院は②のほう。
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