異芸競演お好み寄席
世間はゴールデンウィーク。観光地はさぞや賑わうだろうから、わざわざ出かける気にはならない。近場がいい。円安だのと気にすることもない。
新百合ヶ丘では、例年ゴールデンウィーク期間中、文化の街にふさわしく、芸能、芸術のイベントがいくつも開かれる。
「アルテリッカ演芸座」と称した寄席演芸を観に行った。落語、浪曲、講談、ものまね、活弁と盛りだくさんだった。「異芸競演」である。
目玉は、101歳の曲師・玉川祐子と人間国宝・神田松鯉(浪曲)になる。
裕子師匠は昨年も登場した。人気浪曲師である玉川太福の今回の演目は「男はつらいよ 第1作」。このところ、太福は「男はつらいよ」シリーズをうなっている。今回は、90分の映画をぎゅっと10分ぐらいに縮めているので、深いストーリーにはなっていない。ま、こんなものだろうが、聴きどころは裕子師匠の三味線。掛け声も若々しい。年齢を感じさせない。
ものまねは江戸家まねき猫。動物ものまねだが、やったのはニワトリだけ。ニワトリだけで客席を引き付ける。大したものだ。まねき猫は三代目の猫八(お笑い三人組でおなじみ。若い人は知らないだろうが)の後添えの娘になる。ということは現在の猫八の叔母にあたる。
ニワトリのものまねのやり方を教わった。なるほどそうやればよいのかと思ったが。ひと前ではできない。
トリは、松鯉師匠。おなじみの義士外伝から「天野八頭司兵衛 雪江茶入れ」。以前聴いたことがある。外伝でも有名な噺らしい。いまさら言うこともないが、さすがの芸である。聴衆を引き付ける。
この寄席のプロヂュースは一玄亭米多朗。軽く「動物園」をやった。こまかなことは省く。今回の寄席、落語の影は薄かった。