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2024年4月21日 (日)

取材と構想 塩田武士

 先週、塩田武士の講演会に東銀座まで行ってきた。

 テーマは「取材と構想」。塩田武士は人気の小説家である。いつくもの賞をとっているが、わたしが読んだのは『罪の声』だけ。グリコ・森永事件に着想を得た小説である。

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 今回の「取材と構想」はそのタイトルのとおり、事件や歴史的事実を調査・取材したり、インタビューする、それと同時にどう小説に組み立てていくか、その手の内を明かすものである。

 文献を厳密に調べたり、事件に関わりのある人物と面談したりするのは当然のことだろうが、塩田さんは元新聞記者だから、そのあたりは心得ている。

 構想は、作家によって違ってくるが、基本的な枠組みは変わらない。取材したものの取捨選択。配列、つまり起承転結をどうするかである。

 書き出しをどうするか、どのエピソードを持ってくるか。ミステリーなら伏線をしっかり敷き、それをどう回収するのか。映画の脚本と同じで、橋本忍を描いた『鬼の筆』と重なる。

 塩田さんの話には説得力があった。内容は省くが、なるほどと感心した。で、講演会のあと、ただちに本屋に飛び込んで、最新作『存在のすべてを』を買った。

 1991年、厚木と横浜で二つの児童誘拐事件が発生する。警察の動きがドキュメンタリータッチで描かれる。さらわれた一人は無事、もう一人は行方知れず。犯人は捕まらなかった。それが序章。

 それから30年後の2021年、当時捜査にあたった刑事の通夜の場面となる。新聞記者の門田は再び事件を掘り起こすことになる。

 設定は『罪の声』と似ている。あれは昔の30年ぐらい前のカセットテープを見つけるのが発端だった。

 おもしろい。昔なら二日もあれば読めただろうが、いまはそうはいかない。目が悪くなり、30分もすると、目がかすみ、まぶたに疲労感がひろがる。巻を措かずとはならない。ゆっくり読めばよい。で、まだ半分にも達していない。

 写実画家が登場する。写実画とは写真より精密な絵である。千葉にあるホキ美術館を思い出す。この小説にも出てくる。誘拐され行方不明だった児童が写実画家になっている。さて・・・

 本書が出てから半年が経っている。読んだ人もいるだろうし、これから読む人もいるだろう。読む途中だからいくら書いてもネタバレにはならないだろうが、こ令嬢書くのはやめておく。いくつか散りばめられた伏線がどのように回収されるのか、あるいは収束するのか、じっと目を閉じ、あれこれ夢想している。

 読み終えるのに、あと一週間はかかる。ゴールデンウィーク前には読み終えたい。

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