扇遊・鯉昇二人会
鶴川落語、今回は入船亭扇遊と瀧川鯉昇の二人会。二人とも70を過ぎた。味わいあふれるベテラン噺家である。出身も同じ静岡県。熱海と浜松。所属団体は違うが、仲が良い。誰だったか忘れたが、二人で飲んでいるのを見かけたことがあると語っていた。
今回の演目
鯉昇 千早ふる
扇遊 不動坊
扇遊 青菜
鯉昇 お神酒徳利
おなじみの古典噺である。ただし「お神酒徳利」をやる人は少なくなくなったように思うが、どうだろうか。
長い噺である。暮れの大掃除、家宝のお神酒徳利の行方が分からなくなる。二番番頭が盗まれてはいけないと水瓶の底に隠していたのだ。ところが当の本人はそれを忘れていた。あとで気づくのだが、女房の入れ知恵で、ただちに見つけないようにする。そろばん占いで徳利のありかを告げる。とうぜんのことだが、、徳利は見つかる。主人は大喜びする。
二番番頭の占いは当たる、大したものだと評判になる。これを聞きつけた鴻池の支配人が、主の娘のためにぜひ大阪まで来てくれないか懇願する。で、大阪に向かうのだが、途中の神奈川宿で盗難事件を占うことになる。
ここまでが前半。このあたりで終えてしまうパターンもあるが、鯉昇さんは最後まできちんと演じた。難しい噺だし、演じきるにはネルギーがいる。とくに頭がしっかりしていないとムリ。高齢になると避けたい噺である。鯉昇さんは、それを乗り越えて、さらっとやってしまう。大したものだ。たぶんきちんとさらっていたにちがいない。もちろんそれは見せない。
10年ほど前か、鯉昇さんの「お神酒徳利」を聴いたことがある。それと変わらない。風貌もむかしと変わらない。ずっと老けて見える。が、頭脳は若い。私は陶然として聴いていた。
« 「辰巳」 | トップページ | 「夜明けのすべて」 »
「落語」カテゴリの記事
- 生田寄席 文菊(2024.09.05)
- 喬太郎・白酒・一之輔三人会(2024.08.30)
- 「国本武春の丹波浪曲道中記」(2024.07.29)
- 鶴川寄席 扇辰・兼好二人会(2024.07.21)
- 「八起寄席」 小間物屋政談(2024.07.17)
« 「辰巳」 | トップページ | 「夜明けのすべて」 »
コメント