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2024年6月19日 (水)

「人間の境界」

 数年前、ベラルーシが大量の難民を隣国ポーランドに送り込んだという事件があった。ロシアのウクライナ侵攻前、パンデミックのさなかのことであった。新聞の片隅に載っただけの出来事で、詳細やその後のことは話題になることはなかった。知らない人も多いだろう。

 ポーランド映画「人間の限界」を観てきた。その事件を描いたものだ。

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 難民送り込み作戦はEUに混乱を引き起こすベラルーシ側(その裏にはロシアがいる)の狙いがあった。いやがらせだ。ポーランドは受け入れを拒み、難民をベラルーシに強制的に送り返すことになった。難民にとってはたまったものではない。

 アフガン難民の一家は兄弟がいるスウェーデンへの移住を希望していたが、ポーランドに送り込まれたとたん、ベラルーシに強制的に送り返された。難民の扱いは過酷である。食料も水も供給されない状態だった。何度も国境を強制的に往復させられる難民もいて、しだいに疲弊していった。

 映画は、難民だけではなく、国境警備隊や難民支援をする活動家たちが描かれる。支援するグループのゲリラ的な活動はスリリングである。

 この映画は、公開当初、ポーランド政府から非難され意地悪をされたが、多くの映画人は監督であるアグニエシュカ・ホランドを支持し、政府の干渉をはねのけた。映画は国内で大ヒットすることになったという。

 その後、ベラルーシの難民押しつけ新たな作戦がどうなったのかはわからない。ロシアによるウクライナ侵攻があらたな状況を生んでいる。

 映画のラストで、ポーランドはウクライナからの避難民を200万人引き受けたとのテロップが流れる。皮肉っぽく映る。

 それにしても難民は喫緊の国際問題なのだが、日本人にはピンとこない。きょうも、地中海では、アフリカや中近東からの難民を乗せた船が漂っている。

 

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