「悪は存在しない」
濱口竜介監督の「悪は存在しない」を渋谷まで出かけて観てきた。
封切りしてひと月ほどたつが、新百合ヶ丘での上映はなさそう。濱口監督作品はぜひ観ておきたい。
渋谷のル・シネマ。ル・シネマは東急本店(Bunkamura)の解体にともないしばらく休館となっていたが、宮下公園近くのビルで再開した。かつては東映の上映館。場所はよいビックカメラの。ビックカメラの上。むかしの記憶は薄いけど、古びた劇場だった。それが、きれいに改装された。ミニシアターらしい雰囲気となっている。
映画のあらすじ。自然豊かな高原の村にグランピング施設の計画が持ち上がった。グランピングというのはキャンプができる宿泊施設。この映画でその名をはじめて知った。
グランピング計画はある芸能事務所が政府の補助金を当て込んでのものだった。住民への説明会が開催されるが、事務所側の説明はあいまいで、住民の多くは疑心暗鬼を深める。村の水源に汚水が流れる懸念があるとか、キャンプ場の騒音、防火対策などの課題があった。事務所側は準備不足を認め、再び説明会を開くことでその場を収めた。
芸能事務所で新規事業(グランピング)を担当することになった高橋はとまどい、計画を勧めたいと思う一方で、住民の感情も理解するようになった。
村の便利屋である中年の巧は娘とともに暮らしていた。冷静な男で集落の取りまとめ役でもあった。匠のまき割りのシーンが映し出される。のちに高橋はまき割りの快感を味わうことになる。
会社に戻った高橋は社長から、巧にグランピング場の管理人になってもらったらどうか、それでうまくいくのではなかとの助言を得る。ふたたび高橋は同僚の女性と二人で村に向かう。
ここまでが前半。後半というか結末はちょっとややこしい。
ある事件というか事故が発生する。これ以上書くとネタバレになるが、最後まで明らかにしたところで文句は言われないかもしれない。エンディングは観客を惑わせる。えぅ、なに! で、どうしたの? というところで終わる。そこからは観客に委ねる。どう解釈してもよいようになっている。監督、ずるいよと言う人もいるかもしれない。世の中、不可解なんですねと感じる人がいるかもしれない。自然との共存は、とか知ったかぶりの評をする人もいるだろう。
まずは観ていただきたい。鹿にも触れなければならないが、わたしの理解を超えるのでやめておく。リドル・ストーリーである。
で、わたしなりの決着。次のようなエンディングにしたらどうか。巧と娘の二人が車に乗って、楽しそうにおしゃべりをするシーン。その後のことかもしれないし、過去の映像、つまり回想かもしれない。車は高原の道を駆け抜けていく。
どうだ。いいだろう。観た人に訊いてみたい。
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