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2024年7月29日 (月)

「国本武春の丹波浪曲道中記」

 国本武春という浪曲師がいた。浪曲界の風雲児といわれた。

 浪曲がうまいのは当然として、新たな浪曲スタイルをつくり人気を博した。10年後20年後の浪曲界をリードしていくものと思われた。しかし、2015年、突然亡くなった。55歳。いかにも若い死であった。

 私はそれほどライブを聴いていない。もっと劇場に行けばよかったと残念に思っている。いまはたまにCDを聞くぐらい。ユーチューブも観ている。武春のうなりは気持ちがよい。

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 渋谷のユーロスペースで、「浪曲で生きる映画祭」が開催された。二日間にわたって浪曲ドキュメンタリーを上映するイベントである。

 そのなかに「国本武春の丹波浪曲道中記」がある。炎天下、それを観るため渋谷に出かけた。

 2008年、丹波に招かれ公演をした。道中、武春の浪曲に対する情熱を饒舌に語る。武春節、炸裂である。本番の演目は丹波にゆかりのある「おさん茂兵衛」。

  浪曲はふつう演者と曲師(三味線)で演じられるが、武春は弾き語りの要領でやる。三味線の腕もすごい。ロックなどをアレンジして浪曲をうなる。今回の演目はそれほどうならない。ロックというよりブルースである。これが心地よいのだ。武春は気持ちよく歌い、観客も気持ちよく聴く。すばらしいライブになっていた。つくづく惜しい浪曲師を失くしてしまったものだ。今はCDかDVDを聴くしかない。

 武春亡き後、浪曲は衰退してしまうと危惧したのだが、それは杞憂だった。奈々福、大福らの若手台頭により盛り返している。けっこうなことだ。

 武春死後も、Eテレでは、うなりやベベンを長く放映していたのを思い出す。

 

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