「蛇の道」
アートセンターで黒沢清監督の「蛇の道」を観てきた。
かつて制作した映画をリメイクした。前作は観ていないのでコメントすることはできない。何らかの思い入れとかやり残したことがあったのだろう。自身の作品をリメイクしたものに市川昆の「ビルマの竪琴」がある。あれは、モノクロのものをリメイクではカラーにしていた。
さて、「蛇の道」。フランスで精神科医として働くサヨコ(柴咲コウ)はアルベールという人物と知り合う。アルベールは8歳の娘を誘拐され殺されている。サヨコは復讐に燃えるアルベールに協力することになる。犯行はある財団が関与していることを突き詰めたアルベールはその一員を拉致し、拷問しているが、白状しない。このあたりの経過はよくわからない。たぶん後半で明らかにされるだろう。伏線の回収ってやつだ。
財団は多数の子供を拉致して臓器販売までしているらしい。サヨコは財団探りに傾注し、アルベール以上にのめり込んでいく。なぜ?
ざっとこんなストーリー。サスペンスである。ヌワールと言った方がよいか。黒沢清らしい謎につつまれており、最後まで明らかにされないこともある。ちょっと不満がのこる。警察は何してたんだよ! と、ごく普通な感情が浮かぶ。すっきりしない。
このすっきりしない感は濱口監督の「悪は存在しない」にもあるが、すこし違うような気がする。連想の質の違いといったらよいか。
ついでのひとこと
パリ・オリンピックはまもなく終わる。この間、NHKはオリンピックに乗っ取られている。オリンピック番組を観ないわけではないが、アナウンサーや解説者の絶叫は耳障り。蝉の声よりうるさい。
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