生田寄席 文菊
今回の生田寄席は、古今亭文菊。人気の噺家である。いつもは常連客が多いが、新規の客(たぶん追っかけ)が多かった。そのため満席。屋外、ガラス窓越しの席まで用意することになった。
茶坊主のように登場し、若旦那風の雰囲気、いつもながらの風情である。
今回の演目
あくび指南
水屋の富
いずれもおなじみの演目である。「あくび指南」はあくびの稽古をするという実にばかばかしい噺である。それをどの噺家よりも丁寧に、たっぷり演じた。だから、ばかばかしさが増す。笑える。
「水屋の富」は、天秤棒を担いで水を売ろ男の噺。なけなしの金をはたいて富くじを買ったところ一等が当たる。もらった800両は盗まれてはいけないと床下に隠すが、盗まれるんじゃないかと夜も眠れなくなる。金を取られる夢をみむだけで寝不足になってしまう。さて・・・。
いくつものエピソードを織り込んで丁寧に演じる。声の響きもよい。江戸っ子らしい啖呵も心地よい。
ばかばかしいお笑いがさらに可笑しくなる。大谷のホームランはスカッとさせてくれるが、文菊の噺はうっとおしい気分を解き放ってくれる。心のコリをほぐしてくれる。
よいひとときだった。
暑さも和らいだ。芭蕉の句が浮かんだ。
あかあかと 日はつれなくも 秋の風
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