「西湖畔に生きる」
西という字は、音読みだと、サイかセイになる。どう使い分けたらよいか迷う。
思いつくままあげると、セイ(漢音読み)は、西暦、西部劇、西岸、都の西北・・・。サイ(呉音読み)だと、西方浄土、西下、関西、印西、西遊記など。呉音読みは仏教用語に多い。西行も思いついた。
中国にある西湖は迷う。セイコと読むのが、一般的である。
「西湖畔に生きる」をアートセンターセンターで観てきた。セイコとフリガナがふってある。
西湖は杭州にある。大都市。むかし行ったことがある。西湖の畔は観光地となっており、多くの人でにぎわっている。上野の不忍池よりずっと大きいが、雰囲気は似ている。杭州はお茶の産地であるが、西湖あたりから茶畑まではバスで1時間ぐらいかかる。山間部。広い傾斜地に茶畑が広がっている。
6月だったので茶摘みのシーズンは終わっていた。観光客は少なかったので、ゆっくり回ることができた。帰ろうとすると、駐車場には次々と観光バスがやってきた。その一団といっしょにならなくてよかつた。
映画は、この茶畑で働くタイホアには息子のムーリエンがいる。夫は家を出て10年、行方知れずになっている。ムーリエンは化粧もせず清楚なイメージだが、突然、パーマ姿のきつい化粧をした女に変貌する。都会に出て、健康張り貼り薬を売る会社に勧誘されろ。そこでマルチ商法に手を染めることになる。
マルチの勧誘シーンがすさまじい。マルチ商法ってのはこんな雰囲気なのかと驚かされる。熱狂の勧誘である。繰り返し繰り返し勧誘セミナーのシーンが映し出される。
息子は、違法なインチキ商売だから母親に脱会せよと説得するのだが、聞く耳をもたない。といったストーリー。
山水画のような茶畑や森の静謐な世界が広がる一方、湖畔ではむき出しの欲望が飛び交う世界が映し出される。
自然と世相の対比が面白い。それ以上に、母親役のジアン・チンチンの演技が印象に残る。
どうでもいいけど、西湖の読みは聖子を思い出せば、間違えない。
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