「十一人の賊軍」
白石和爾監督の「十一人の賊軍」を観てきた。
脚本家の笠原和夫が残したシノプシス(あらすじ)をもとに脚本にしたという。脚本は映画会社の対応に腹を立てた笠原がみずからのシナリオを破り捨ててしまったので幻となっていた。残されたシノプシスをもとにシナリオにした。いわば、笠原和夫へのオマージュ作品なのだ。
時代は戊辰戦争。薩長連合軍は長岡から新発田に向かった。新発田藩は会津と同盟を組んでいたが、なんとか薩長軍をやり過ごしたいと考えていた。藩は揺れる。城下が戦乱に巻き込まれるのは何としても避けたい。このあたりの歴史はややこしい。罪人(山田孝之、仲野太賀たち)を決死隊として戦わせることで薩長の進軍を遅らせようとした。
映画は、壮絶な斬りあいシーンを描く。流れるテーマは、そそのかしと裏切り。つまり「仁義なき戦い」の世界と同じなのだ。メンツを重視し、戦う姿をみせながら、首をすくめる。
ほうろく玉を投げて爆発させるなど、アクションは迫力があるのだが、画面が暗い。夜のシーンが多いせいもある。もうすこし明るく撮ってもらいたかった。見えないのは、こちらの目が悪くなったこともあるかもしれない。
といったことで、そそのかし、あげくは罪人たちを殺してしまうという仁義なき藩の政略を描いている。生き残るため、小国はこうするしかなかったという物語でもある。
家老(阿部サダヲ)は長岡のようにならなかったことに満足するのである。
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