「国境ナイトクルージング」
中国はコロナ禍が明けても遠い国になっている。
ちょっとした観光旅行でもビザがいる。これがけっこう面倒らしい。行けないことはないけれど団体ツアーはない。スパイ法が強化され、これも旅行を躊躇させることになる。
マスコミでは、経済の停滞が伝えられているが、GDPは堅調である。GDPの成長率が下がったと騒がれているけれど、日本に比べり立派なものだ。若者の就業率も低迷している。あきらめという寝そべり族の話題も聞く。どうなんだろうか。
現代中国の若者を描いた「国境ナイトクルージング」を観てきた。シンガポールと中国の合作である。
場所は北朝鮮との国境近くの延吉。真冬。三人の若者が出会う。上海の大企業に勤めるエリート社員。なんとなく行き詰まりを感じている。旅行でこの街を訪れた。元フィギュアスケートの選手だった女性はバスツアーのガイドをしている。燃焼しきれなかった思いがある。もうひとりは叔母の料理店で働く男。学業をあきらめ、向上心を失っている。三人はディスコで遊んだり、酒を飲み、よっぱらってオダをあげている。延吉近くの長白山に出かける。この極寒の山行きのシーンがおもしろい。クマもでてくる。
談笑するうちに、心のわだかまりってのが薄らいでいく。先行きの不安は幾分解消され、しっかり生きていこうという気持ちになる。
朝鮮族が多く住まう土地である。ハングルが飛び交う。北京から離れているせいか、現代中国社会の息苦しさはそれほど感じられない。自由な雰囲気が感じられる。いい映画だ。
ラストではアリランが流れる。
ついでに言うと、中国映画にしては激しいベッドシーンがある。中国ではなくシンガポール映画とみるべきなのか、そのあたりはよくわからない。
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