「正体」
ようやく藤井道人監督の「正体」を観てきた。逃亡劇である。
逃亡劇といえばテレビドラマの「逃亡者」を思い出す。ハリソン・フォード主演でリメイクされた。さらに古くはジョン・フォード監督の「逃亡者」がある。主演はヘンリー・フォンダ。あまり知られていないが名作である。
今回の映画。一家殺人事件の現場で逮捕された男は裁判で死刑となる。病気をよそおい救急車で搬送される途中で逃げ出す。そこからの逃亡。逃げる男・鏑木を演じるのは横浜流星だが、髪やひげを伸ばし眼鏡をかけているので、誰だかわからない。工事現場で目立たぬように働く。同僚にも優しく、信頼をえる。一方で警察の追及は狭まっていく。刑事(山田孝之)は執拗に捜査を進める。追い詰めるがすんでのところで取り逃がす。ついで、鏑木はフリーライターとなり編集者の信頼を得て、部屋に泊めてもらうようになる。そこにも刑事がやってくるが、警察は取り逃がしてしまう。さらには老人ホームの介護士として働く。ここでも周りの信頼を得る。その一方で、鏑木は一家殺人事件の目撃者を捜す。
逃亡ものは、すんでのところですりぬけるところが見どころとなる。さらに収束。どのようなエンディングとなるのか。
なぜ逃亡したか、刑事が問うシーンがある。その返答はよくわからない。「おれはやってない。目撃者をみつけ証言してもらいたい。それで逃げた」程度のセリフでよかったのではないか。
あるいは、崖から川に身を投げて行方不明となる、つまり生死は不明となる。一方で真犯人が浮上するというエンディングなら続編ができるなどと思ったりもする。話題となった最近の冤罪事件も透けて見える。
ところで・・・、ジョン・フォードの「逃亡者」の結末がどうだったか思い出せない。
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