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2024年12月 4日 (水)

「海の沈黙」

  倉本聰は89歳。年が明けると90歳。現在、ロードショーとなっている「海の沈黙」は最後の脚本と言われている。そうなるかどうかはわからない。

北の国から」が代表作とされているが、わたしのお好みは違う。「うちのホンカン」は楽しかった。大滝秀治の演技が抜群だった。「浮浪雲」も好きだった。いい加減なところが愉快だった。調べてみると、いずれも70年代の放映。半世紀前のこと。昭和だ。テレビドラマを観たという人は年寄りばかりとなっている。倉本作品は、むかしのものの方が笑えるものが多かった。

 このたびの「海の沈黙」。絵画の世界を描いている。

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 著名な画家・田村修三(石坂浩二)の展覧会が開かれた。田村はその一作品が贋作だと発言したから大騒動となる。誰が贋作を描いたかはわからなかったが、かつての画家仲間の津山竜二(本木雅弘)の名が浮かび上がる。当時、天才画家といわれたが、贋作を描いて生計を立てていた。竜二は姿を消した。以後の消息は不明だった。田村の妻(小泉今日子)はかつて竜二の恋人だった。

 そんな設定だが、竜二は入れ墨も描いていた。そのあたりに少し違和感がある。全身、入墨の女の死体がみつかる。あざとい。あざといのは悪くはないのだけれど、なぜ入れ墨でなければならないのかはよくわからない。

 ドラマチックはよいのだが、もうすこし、さらりと描けなかったものか。それが若松監督の趣向なんだろうが、さらりと、淡々と描いた方がいい。

 クスリと笑える場面がなかった。倉本流ユーモアを楽しみにしていたのだが。

 ついでのひとこと

 流行語大賞に「ふてほど」が選ばれた。初めて聞いた。テレビドラマ「不適切にもほどがある」の略語だそうだ。脚本は宮藤官九郎。クドカンである。

 ふてほど・・・私には、「ふてぶてしいにもほどがある」と聞こえる。

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