「キノ・ライカ」
去年の年始め、カウリスマキ監督の「枯れ葉」を観た。冒頭、「竹田の子守唄」が流れる。この歌がフィンランドでも知られているのかと心に残った。
アートセンターで「キノ・ライカ」を観てきた。カリウスマキたちがヘルシンキ郊外のカルッキラに映画館をつくるというドキュメンタリーである。監督はカリウスマキではなく、クロアチア出身のヴェリコ・ヴィダク。家族をともないこの地で一年ほどかけて撮影したという。
カーラジオ(それともテープ?)から流れる歌は日本語。男性が太い声で歌っている。「枯れ葉」と一緒。あとでわかったのだが、歌うは篠原俊武という人物。フィンランドに長く住んでいるという。カリウスマキの日本贔屓はこのあたりにあるかもしれない。
カルッキラはかつて鋳物製造で栄えた街なのだが、いまは衰退している。老朽化した鋳物工場を改装して理想の映画館を作ろういうのだ。カリウスマキ自身も金槌を持つ。一心不乱に建てようとする雰囲気はない。しろうとの集まりだから完成までは時間がかかる。
隣接した建物にはカフェもつくる。ワインも飲んだりしてゆっくり過ごせるようになっている。理想の空間である。採算にあうのかと考えてしまうが、それはそれ。なんとかなるだろう。ならなくなればまた考えればよい。うらやましい。そういうカフェで映画のおしゃべりをしてみたい。
ジム・ジャームッシュが登場する。カウリスマキとは友人である。フィンランドを訪れたときの思い出を語る。カリウスマキが運転する古いキャデラックに乗る。屋根がない車。雪が降ってきた。
この映画、そういえばジャームッシュの映像に似ているように感じる。アンドレ・バザン(映画評論家)がどうのこうのという会話も出てくる。わたしにとってはなつかしい人だ。
ということで、映画ファン、とくにむかしのヨーロッパ映画が好きな人にはぜひ観てもらいたい。
ついでのひとこと
映画館で映画祭仲間と出会った。「侍タイムスリッパー」を7回観たという。おもしろい映画だけど、短期間に何回も観るような映画ではないと思うが、はまっちゃったんだろう。もうひとり、駅近で仲間と会った。これから「パリ・テキサス」を観に行くという。渋いねえ。久しぶりに観るのはよい。
七草粥
きょうは七草粥の日。麻生区民館前の広場では、例年、七草粥が振舞われる。例年より人は少ない。直前まで雨が降ったせいだろう。
縁起ものである。うまいものではない。
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