「太陽と桃の歌」
スペインのカタルーニアの農村。桃農園を営むファミリーの物語である。
ずっとこの地で桃をつくってきたが、地主から収穫後に土地を明け渡すよう迫られている。その土地にソーラーパネルを設置しようとするのだ。父親は絶対反対だが、この際だから止めてもいいのではないかと思う家族もいる。桃農園の経営は大変である。鹿や兎による獣害がある。桃を仕入れる業者の値引き要請も強くなっている。このままでは成り立たなくなる。
そんな現状をドキュメンタリーのように映し出す。ファミリーのいくつかのエピソードを積み重ねていく。これといった展開、起承転結はない。
観客はただ農村風景や無邪気に振る舞う子供たちの様子や家族の諍いを眺めるだけである。
緊迫するのは、卸売り業者への抗議集会ぐらい。トラクターで集まった農民は門前に桃をブチまける。いまの価格ではやっていけない。買い取り価格の値上げを要求する。これが効を奏するかどうかはわからない。桃は日本のものとは種類が違うようだ。固そう。生食よりジュースか缶詰用か。
農地が工場用地になっていく光景はどこの国でも見られる。都市化が進めば、住宅地になったりするのは致し方ないだろう。ソーラーパネル程度ならいいのではないかと寛大な気持ちになってしまう。
が、農業を考えれば背後に深刻な問題がある。日本の農地もずいぶん減った。農業従事者も少なくなった。酪農もやめる人が急増している。経営が苦しくなっている。輸入飼料の高騰である。円安が拍車をかける。なんとかしなければならないが、国の支援は乏しい。食料安保は重要といいながら、一方で軍需予算を大幅に増やしている。
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