「リアル・ペイン」
6年前、ポーランドに行った。ワルシャワと南部のクラフクを巡る一週間ほどのツアー。アウシュビッツは心に重かった。が、総じて楽しい旅行だった。
「リアル・ペイン~心の旅~」をイオンシネマで観てきた。ポーランド旅行の話である。アメリカに住むデビットとベンジーはいとこ同士。30代。亡くなった祖母のふるさとを訪ねる目的でポーランドツアーに参加する。
デビットは妻と子と幸せな家庭を築いている。まじめな若者だ。一方、ベンジーは独身。陽気で自由奔放な生き方をしている。デビットはベンジーに振り回されることはあるが、仲はよい。上映5分ぐらいで二人の性格はわかる。
ワルシャワでツアーメンバーと合流する。ガイドはイギリス人。老夫婦、未亡人、そしてルワンダの青年。ルワンダの大虐殺事件を体験し、のちにユダヤ教に入信した。
列車で南に向かう。ベンジーは一等車に乗ることが気に入らない。強制収容所にいくのに豪華な列車に乗るのは抵抗がある言い、別車両に移ってしまう。デビットは仕方なしにベンシーにつきあう。ところが寝過ごしてしまう。あわてて降りて、反対車線の列車でもどる。なんとか無事ツアーメンバーと巡り会うことができた。
デビットはガイドに文句を言うシーンがある。史跡もいいが、そこに住む人たちの声が聞こえないとかクレームをつける。ガイドは困惑する。
強制収容所跡地はアウシュビッツではない。別の場所。ここで亡くなったユダヤ人たちに思いを馳せる。ことば少なになる。気分は重い。リアル・ペイン、心に刺さる。
その後、メンバーと別れ、祖母が住んでいた住居に向かう。
車窓には広大な麦畑が広がる。この畑は国の東側にあるウクライナにつながっている。ウクライナでも同じような光景だろうと想像できる。しかしロシアの話題は出てこなかった。
流れるのはショパンのピアノ曲。しょっちゅう聴こえる。日本人の耳に馴染んだ曲が多い。ショパンといえばポーランド、ポーランドといえばショパン、である。
監督・脚本はデビットを演じたジェシー・アイゼンバーク。ベンジーを演じたキーラン・カルキンの情緒不安定な演技が印象的。「ホーム・アローン」の主役の坊や、マーコレー・カルキンの弟だそうだ。
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