『七人の弟子』
噺家の立川談四楼は、落語もする作家と言われることがある。エッセイや小説、著作は多い。近著の『七人の弟子』を読んだ。弟子についての実録ものである。多少のフィクションも混ざっているだろうが。
談四楼は文章が上手い。本書をじっくり読んでみると、なめらかでリズム感があるのをあらためて感じる。読みやすい。「滑舌の良い文章」である。
噺家になるには師匠に弟子入りしなければならない。弟子入りは若い方がよい。年齢制限を設けている協会があるが、立川流には年齢制限がない。談四楼師匠のもとに弟子入りするのはいい歳の者ばかりである。真打になっていてもおかしくない年齢。「中年再生工場」だと自らを称している。その弟子たちの入門記である。
立川三四楼は快楽亭ブラックの弟子だった。ブラックはギャンブルで立川流を除名(破門より軽い)されたが、独立系として活動している。しかしギャンブル熱はやまず、弟子からも上納金100万円を巻き上げていた。その弟子を引き取ることになった。三四楼と名付けた。かつての名は快楽亭ブラッC。ブラッCは消費者金融から借金していた。利子支払いに追われていた。前座修業どころではない。それを脱出させた。その経緯は本書で。それにしてもブラックはブラックである。落語はうまいが、師匠の片隅にも置けない。ほかの弟子連中はどうしたのだろうか。気になる。
立川寸志は43歳で入門した。前職はベネッセの社員。落語熱が昂じて、安定した勤めを振り切って、落語界に飛び込んだ。
昨年二つ目の会で寸志の落語を聴いた。これが抜群に良かった。だてに齢をとっていない。ことし56歳。まもなく真打だろう。
といった弟子入りの連中を書いている。ひしひしと感じるのは、師匠の矜持である。弟子に対する愛情が伝わってくる。
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