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2025年3月 2日 (日)

「ゆきてかへらぬ」

 中原中也と小林秀雄は仲が良かった。ところが中原中也と同棲中の女優・長谷川泰子が中原と別れ、小林秀雄のもとに去ってしまったという有名な話がある。中也の自堕落な態度に泰子が嫌気がさしたとか、小林が略奪したとか諸説ある。真偽はわからない。文壇ゴシップである。今ならマスコミで大騒ぎになるとか、SNSでフェイク情報が飛び交うことになるかもしれない。どうでもいいことだが。

 その中原中也、小林秀雄、長谷川泰子の三角関係を描いた「ゆきてかへらぬ」をイオンシネマで観てきた。中也を木戸大聖、小林を岡田将生、そして泰子を広瀬すずが演じる。

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 監督は根岸吉太郎。久々の監督作品である。前作がなんだったか思い出せない。

 泰子を中心に描かれる。泰子は年下の中也を可愛がる。中也は自分の世界を持っているから泰子にぞっこんとなるわけではない。あれこれあって、結局、中也と別れ、小林と暮らし始める。中也はそれを怒ったりしない。かといって泰子をあきらめるわけではない。しばしば小林宅を訪れる。三人で遊びに出かけたりする。ああ、これは「ジュールとジム」だなと昔のフランス映画を思い浮かべる。広瀬すずはジャンヌ・モローである。

 泰子はひどく神経質なところがあり、ヒステリックな行動にでたりする。男二人はとまどうが、二人がつっかえ棒のようでないと泰子のこころはしずまらないと小林は分析する。一人が欠けてもだめなのだ。

 中也が夭逝することはご存じだろう。そのあたりまでが描かれる。映画はアルカイックである。悪く言うと古臭い。コキュなんてことばも飛び出す。死語に近い。今では時代が大正から昭和にかけてだから、わざとそうしたのかもしれないけど、年寄りの目からもそう思う。行儀がちょいとよすぎる。いっそロマンポルノのように仕立ててもお面白かったのに。

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