『マット・スカダー わが探偵人生』
探偵小説の主人公と言えば、シャーロック・ホームズとかフィリップ・マーロウがまず浮かぶ。以下、サム・スペードとか人気の探偵は多いが、わたしのイチ推しはマット・スカダーである。
最初に読んだのは『八百万の死にざま』。アル中の探偵もの。すさまじいアルコール中毒の様子に胸を揺さぶられた。作者はローレンス・ブロック。シリーズは長編で18冊になっているという。
マット(マッシュー)はアルコールから脱出し、今ではエレインと静かに暮らしている。84歳になる。
昨年『マット・スカダー わが探偵人生』が出た。マッシューが自らの生い立ちを語るという構成になっている。父や母のこと。亡くなった弟のこと、学生時代のこと。マッシューファンなら知りたいことある。トリビアなことでも知識としておきたい。シャーロキアンと同じように。
父親もアルコール依存症だった。地下鉄の連結部から転倒して亡くなった。本書の帯を引用すると。
「父と母、幼い弟の死、警官時代の相棒との逸話。はじめて犯罪者を射殺した日。復讐者との因縁。そして少女を死なせてしまったあの日――。記憶を探りながら諦観を交えて静かに語る最後のマット・スカダー。」
本の紹介ならこれで十分だろう。制服の警官となり、私服の刑事に昇進する。結婚し二人の子をもうけたが、次第に家庭を顧みないようになった。そして、例の事件。犯人を射殺したが、はずれた弾の一つが石に跳ね返り、少女の眼を貫いた。即死だった。警察を辞め、しだいに酒におぼれるようになった。その辺りまでを振り返っている。
探偵になってからの記述はほとんどない。
といった内容。一気に読むにはもったいない。少しずつゆっくり読んだ。心に染みる表現にあふれている。
スタガーシリーズを一冊でも読んだことのある人は、ぜひ読んでもらいたい。まったく読んだことのない人にもお薦め。ここから過去のシリーズを手にしてもよい。
書きたいことはまだあるけど、きょうはここでやめておく。
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