「聖なるイチジクの種」
2022年、テヘランで、ヒジャブをつけていないという理由で若い女性が警察に連行され、不審死をとげるという事件があった。若者を中心に激しい抗議デモが起き、市内は混乱した。そういえば、そんな事件があったなあと思い出すだけだが、「聖なるイチジクの種」はそのころを描いた映画である。
テヘランの司法当局で働くイマンは予備判事に昇進する。20年誠実に勤めてきたことが評価されたわけだが、勤務は厳しくなった。反政府運動が激しくなり、それにあわせて逮捕者が増えた。その取り調べや裁判が忙しく、家庭を顧みる余裕はなくなっていた。娘もデモに参加していた。
イマンは、護身用の拳銃を持たされる。立場上、反体制の連中から襲撃される恐れがあるからだ。その拳銃がなくなってしまう。大失態である。ここまでが、前半。かなり長く感じる。
家中探し回り、妻や娘たちの持ち物も探すが見つからない。妻や娘たちへの追及は執拗である。パターナリズム(父権主義)を露わにしていく。イマンはそれだけあせっている。拳銃喪失が露見すれば、職を失う恐れもある。
イマンは同僚に事情を打ち明ける。尋問のベテランが妻や娘たちの聞き取り調査を引き受けるが、拳銃はみつからない。さらに、イマンの住所がネットにさらされ、反体制から付け狙われる恐れが生じた。
事態は思わぬ方向に転がっていく。これ以降は、ネタバレになるので書かないけど、ひとつだけ言うと、イマンの行動はさらに異常になっていく。
監督はモハメド・ラスロフ。イランでは困難な立場に立たされている。この映画が反政府的であるとして懲役8年などの刑に処せられたが、ひそかに国外に脱出。ドイツで亡命生活を送っている。
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