『啓蒙の海賊たち』
マダガスカルについては乏しい知識しかない。バオバブの木とかワオキツネザルとか。アフリカの一部だからアフリカ東部から人がいたが、ボルネオやマレー半島、あるいはインドとの交流があった。
デビット・グレーバーの『啓蒙の海賊たち』を読んだ。グレーバーは突拍子もないような言説で知られる文化人類学者である。『万物の黎明』などで知られるが5年前59歳で亡くなっている。異才の学者である。
カリブ海にいた海賊というか、はみだし連中が、マダガスカルにたどり着き、拠点を置くようになった。海賊は財産を奪うだけの存在ではない。交易でも稼いだ。情報を伝え。文化や物資を他国にも伝えた。彼らは金をもらって、護衛とか海の道先案内もした。
本書ではマガスカルの歴史に多くの紙面を割いているが、一読しただけではその歴史はよくわからない。サブタイトルは「あるいは実存したリバタリアの物語」。
海賊は既存の封建社会から逃げ出した、あるいははみだした連中である。自由を志向した。けっこう民主的で、略奪品はメンバーに平等に分けあうとか、船長は船員の合意(選挙)で選ばれるとか。それが海賊組織を維持する英知でもあった。マダガスカルでは女性が商人として活躍した。
啓蒙主義はイギリスに起こり、フランスなどに伝えられたとされている。グレーバーは、それって海賊たちがもたらした思想にルーツがあるとの見解を示す。ジョン・ロックに影響を与えた。ダニエル・デフォーやモンテスキューにもその影がうかがえる。
マダガスカルはこれまでの世界史には登場しなかった。辺境である。そこにスポットをあてて論及しているところが面白い。まだ書きたいこともあるが、うまくまとまらない。
ついでのひとこと
本書を読みながら、「倭寇」が略奪者という側面だけではなく、交易、情報提供者という側面があったことを思い浮かべた。宮本常一の言う「世間師」でもあった。
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