「TOKYOタクシー」
2年ほど前「パリタクシー」というフランス映画があった。パリに住むひとり暮らしの老女を介護施設に送り届けるという物語である。運転手は違反チケットで免停になることをおそれている。老女はストレートに施設に行くのではなく、想い出の場所を巡るよう依頼する。過去の出来事を語り始めると、運転手は、しだいに老女の話に耳を傾けるようになる。今では考えられないような過酷な人生だったことが明らかにされる。波乱万丈ある。深刻な話だが、映画は、それほど深刻には描かない。ユーモアをまじえ、サラリと過去を振り返っている。このあたりが好感をもたれた。映画はヒットした。
山田洋次監督がリメイクした。場所は東京に移し、「TOKYOタクシー」。リメイクにはそれなりの理由があったのだろうが、それは知らない。主演は、倍賞千恵子と木村拓哉。トップスターである。
リメイクというと、どこかに違和感を抱くものだが、それがない。うまくこなれた作品に仕立ている。90を過ぎても山田洋次の力量は衰えていない。
東京、柴又から都内のあちこちをめぐって、葉山の施設までのタクシードライブ。倍賞のおしゃべりがいい。やむにやまれず罪を犯すのだが、さほどの重さを観客に感じさせない。古き良き時代の松竹映画の匂いが漂う。50過ぎたキムタクも大人っぽく、老女につきあう。細かなことはこれ以上書かない。
突然、倍賞が歌う「星屑の町」が流れる。いいねえ。わたしはカラオケでこの曲を必ず歌う。選曲のセンスがよい。これだけで映画の好感度はあがる。
両手をまわして 帰ろう 揺れながらぁ 涙の中を たったひとりで・・・
あとあじがよい映画だ ほのぼのとした気分になる
80代であることは間違いない老人がたくさん観に来ていた。車椅子の人もいた。老人には心地よい映画である、若い人が共感を抱くかどうかはわからない。「星屑の町」なんてのは知らないだろう。三橋美智也だ。
そんなことはどうでもよい。とりわけ高齢者にはお薦め。シニア割引で観ることができる。


















