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2025年11月28日 (金)

一之輔独演会

 もっともチケットがとれないとか、忙しいとか言われる噺家は春風亭一之輔である。「週刊文春」に隔週で日記風のコラムを連載している。それを読めば、忙しさがわかる。全国を飛び回り、ラジオに出たり、エッセイも書いたりしている。その合間にネタ下ろしもやる。当然、練習もしなくてはいけない。

 池袋演芸場から新宿末廣亭まで歩く。電車移動ではない。ブツブツいいながら浚う(おさらい)。移動時間が練習である。権太楼も池袋新宿は歩くと聞いたことがある。忙しい噺家は、スマホ歩きはしない。そういうものらしい。今週の「週刊文春」をお読みいただければ、それがわかる。立ち読みでよいから読んでみて。

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  一之輔独演会に行ってきた。夜席である。場所は麻生市民館。10分とかからないから夜でも大丈夫。懐中電灯を持って。

  千席がすべて埋まった。さすが人気の噺家。

  今回の演目

  一之輔   藪入り

  梅朝    ぐつぐつ

  一之輔   心眼

  一之輔は喉の具合が悪くなった。で、当日、助っ人を頼んだ。春風亭一花に断られた。次に春風亭梅朝に頼んだら、夜席ならオーケーという返事。梅朝は登戸だから改称急行ならひと駅である。午後は30人ほどの落語会に出てきたという。夜は千人の大ホールである。

 演目は「ぐつぐつ」。柳家小ゑんの新作落語である。新作と言ってもずいぶん前に作ったもので、小ゑんの代表作である。当人以外も演っている。おでんの具材を擬人化したもので、イカ天とかハンペンが言い争いをしたり愚直を言ったりする愉快な噺である。ぐつぐつとは、言うまでもないが、おでんの大鍋が煮立っている音のことである。

 おもしろいから他の噺家もやる。小ゑん以外で何度か聴いたことがある。新・古典噺として生き残っていくのではないか。冬にはもってこいの噺である。

 一之輔は喉の調子を考えて、比較的おとなしい噺である。破天荒で、はじけるような噺ではない。これもよい。

心眼」は盲人の噺。身障者への配慮もあって、めくらなどという表現はつかわないようにしている。で、「景清」とか「心眼」、あんまが登場する噺は聴く機会が減っている。それほど気にすることもないのに。

 あんまの梅喜が目が開くよう薬師様にお百度詣りをする噺。願掛けのおかげで目が開く。で、あれこれあって、オチは「目明きってのは、面倒なものだ」となる。

 オチはいくつかあるが、基本はこれ。このオチは、気に入っている。もっとやればいいのにと思う。

 一之輔のやや静かな語り口もよかった。

 

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