「石炭の値打ち」
ことし最後の映画はケン・ローチ監督の「石炭の値打ち」。ケン・ローチ監督ファンは多い。アートセンターの客席はほぼ埋まった。
50年近く前の1977年、テレビ用に制作した映画である。上映時間は168分。途中休憩がある。今どきの映画からするとそれほど長いわけじゃないけど、年寄りにはトイレタイムがあるのはありがたい。
舞台はイギリス、南ヨークシアの炭鉱。炭鉱ものといえば、落盤事故とか閉鎖による労働争議がテーマになるものが多い。今回の「石炭の値打ち」は二部構成となっており、二部が落盤事故を扱っている。
一部は、1976年、チャールズ皇太子が視察に訪れたときの話。なにせ皇室メンバーを招くのだから準備は大変である。炭鉱労働者は経営者を冷ややかに眺めたりするだけだが、経営側は大わらわとなる。花を植えたり、ごみの始末をしたり、ペンキを塗ったり、修繕をしたりする。ちょっと笑えるが、いずこもそんなものか。そうした姿を淡々と描いている。
二部は、落盤事故そのもの。爆発が起き。8人が坑内に取り残される。安否不明。懸命の救出作業が始まる。幹部社員、救助隊、家族の動きを映し出す。
一部も二部もドラマチックには描かない。非常事態であるけれど、救出劇を感動的には映し出さない。静かである。このあたりが、ケン・ローチ風。
労働者をみつめるまなざしが優しい。経営者側の人間も悪役にしてはいない。そほあたりの視点がケン・ローチの持ち味だとあらためて感じさせてくれる;
ついでのひとこと
ケン・ローチの名が知られるようになったのは、アイルランドの内戦を描いた「麦の穂をゆらす風」以降である。それ以前も多くの映画をつくってきたが、日本ではあまり知られていない。
川崎市ミュージアムでは初期のケン・ローチ作品を収集してきた。ときどき上映会を開いていた。わたしはそれをいくつか観てきてきた。それが2019年の台風で水没してしまった。ダメになったのか修復可能かどうかはわからない。
















