『普天を我が手に 第三部』
第三部、完結巻である。リズムに乗ったか、快調に読んだ。
志郎は司法試験に合格し、司法研修所で学んだのち、検事になる。大阪に赴任して、関西の芸能興行を仕切るヤクザ組織の親分と対峙する。その後、外務省に出向し、アメリカの大学に留学する。
四郎は運送業に手を出す。朝鮮戦争の特需で大いに潤うことになった。その名は政治家にも知られ、大物政治家(モデルは大野伴朴)に可愛がられるようになる。
ノラは留学試験に合格し、アメリカの大学で学ぶ。南部にも行き、黒人差別の現実を知る。帰国後、アメリカの通信社に勤める。通産官僚と結婚し、二人の子を育てる。テレビ局に転じ、志願してベトナム戦争の特派員となって最前線を取材する。
満は興行プロモーターとして先駆的な事業を成功させる。プロレス興行では元相撲取り(力道山がモデル)とともに大成功を収める。エンタメ界では確固たる地位を築く。
戦後史をなぞるように展開する。代議士となった四郎は過激派の引き起こしたハイジャック事件の人質となり北朝鮮まで行く。浅間山荘事件、ロッキード事件をモデルにした政治事件も扱われる。
ちょっと広げすぎの感もあるけれど、戦後史をまるごと視野に入れた展開となる。途中、残りのページからすると、昭和の終わり、昭和天皇の崩御までが描かれると推測できる。つまり、昭和史まるごとなのだ。
ネタバレにならないよう書くと、いずれも政治家となる。自民党総裁選も描かれる。そこが読みどころである。志郎と四郎の演説がみごと。その部分をもう一度読み返してみた。
ふっと息を吐き、普天を仰いでみた。
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