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2026年3月10日 (火)

『修羅場の王』

 先の総選挙で中道改革連合は大敗した。公明党をのぞくと、かつての民主党である。民主党は政権をとると、大きな試練に立ち向かう。2011年には東日本大震災の原発事故では未曽有の対応に追われた。その前のリーマンショックでは大型倒産があり、政権は振り回された。普天間問題もあった。ついてない政党である。

 日本航空の破綻処理に追われたのは2009から10年にかけて。今ではなにごともなかったように語られたりするが、ひとつ間違えば日本経済はガタガタになっていた。

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修羅場の王』は日本航空の破綻と破産管財人(代表は瀬戸英雄)を描いたノンフィクションである。けっこう分厚い本(400ページ)なのだが、割とすらすら読んだ。緊迫のドキュメントは引き込まれる。

 日本航空は過剰債務(過剰路線、過剰機材、過剰人員)で、赤字をたれ流し続け、資金繰りに追われ、窮地に陥っていた。このままでは倒産となる。政府主導で瀬戸らが送り込まれた。瀬戸グループの活躍ぶりが描かれるのだが、政府では国交大臣、副大臣が日本航空の倒産回避に走り回った。とりわけ副大臣だった辻元清美は、日本航空の取引先は2万社もの中小企業があり、日航がつぶれれば日本経済はズタズタになってしまう、なんとしても倒産は避けなければならないと、関係省庁を説得した。それは知らなかった。

 読みながら思い出したのが「三方一両損」。大岡裁きを描いた古典噺である。三方が痛みを分け合うことでみな納得するような結論にもっていく。メガバンクは債権放棄、株は紙くずに、社員やOBは年金カットや人員削減、政府は投資銀行による資金注入などなど、痛みを分け合った。

 日本航空の倒産が比較的平穏に済んだのは、会社更生法とつなぎ融資がうまくいったからである。そのあたりはちょっと難しいのだが、会社更生法と公的殺金の注入という手法を組み合わせて裁判所の了解をとりつけた。更生法の場合、小口債権を除いて支払いは停止となる。それでは飛行機が飛ばせなくなる恐れがある。飛ばせるための支払いは小口債権と同様にするという方便である。そのあたりが克明に描かれている。再建の肝であった。

 当時、私は、日本航空の倒産(更生法)などそれほど重大な事件とは思ってなかった。マスコミもそれほど騒ぎ立てなかった。大きなトラブルなくソフトランディングできたからである。日航機は何事もなく飛んでいた。

 本書を読むと、薄氷を渡るような顛末だった。関係者の奮闘ぶりがよくわかる。目立たないが、良質のドキュメンタリーである。ぜひ、ご一読を。

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