井上有一展
銀座で飲み会があった。そのまえに渋谷に行き、松涛美術館で「井上有一展」を観てきた。
井上有一さんには一度だけお目にかかったことがある。ずいぶん昔だ。亡くなったのは1985年だから、80年前後だと思う。
銀座の和光で、井上有一を囲む会のようなものがあり、知人に誘われた。ふつうの会合とは違っていた。ハイソな感じ。大岡正平と岸田今日子があいさつした。有名人が来ていることに驚いた。最後にあいさつに立った井上有一が印象的であった。作務衣姿。職人かたぎの頑固くそオヤジ、といった雰囲気で、話の内容もくそ頑固だった。
井上の書は、観る人を一瞬で圧倒する。墨がほとばしり、ドドッと迫ってくる。代表作は「貪」だろう。人が立って歩いているようにもみえる。
「愚徹」という作品も心に残る。愚は押しつぶされている。踏みにじられてもぐっとこらえて愚に徹して生きる。そんな感情を表しているようにも見える。
亡くなって40年。書は生きている。頑固くそオヤジは強烈である。












