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書籍・雑誌

2017年2月 2日 (木)

 『喧嘩 すてごろ』と映画「破門」

 黒川博行の『疫病神』シリーズの最新作。冴えない建設コンサルタントの二宮と元ヤクザの桑原(破門中)の凸凹コンビが繰り広げるサスペンスというかドタバタ劇である。二宮にとって桑原は疫病神であるが、離れられない。腐れ縁である。

 このコンビの会話がなんともおかしい。深みにはまると、桑原の口調がでる。「眠たいのう、おまえは。便所コウロギのようなツラしくさって

 今回は、利権や口利きで甘い汁をすすっている代議士や地方議員、そしてヤクザ組織を相手に、少しうわまえをいただこうとするストーリーである。むろん簡単ではない。命辛々のカラダを張ったアクションが展開される。

 この『喧嘩』の一つ前の本を映画化したのが「破門」である。

 映画の出資金を持ち逃げした映画プロデューサーを追ってマカオまで行くというストーリー。この金を追って暴力団組織がからむ。

ふたりのヤクビョーガミ」というサブタイトルがついている。桑原は二宮にとって疫病神だが、二宮も桑原にとって疫病神というわけか。

 桑原役は佐々木蔵之介。原作のコワモテのイメージとは違う。線が細い。うーん、どうなのかな。原作の桑原はトミーズ雅のような人物像なんだけど。二宮役の横山裕も初々しくて優しすぎる。原作では、もっと冴えなくて、抜け目ないイメージなんだけど。

 ま、原作を読んでいない人にとってはどうでもいいか。佐々木蔵之介もそれなりの体当たり演技で、悪くはない。

 ふたりの掛け合い漫才のようなユーモアとドタバタがもっとあってもよかった。 

 原作者の黒川博行がワンカットだけ出ている。空港で搭乗手続きをする男。たぶんそうだと思うが、自信はない。