「八起寄席」
柳家権太楼が食道ガンの治療を受けていることを公表した。十数年前にも大病をした。ま、いい歳だからと括られてしまうが、はやく高座に復帰してもらいたい。
TBSの落語研究会の高座を映した番組を正月三日間やっていた。そのビデオを観た。権太楼は「百年目」。圧巻の高座だった。
相模大野に出かけて「八起寄席」を聴いてきた。新春は、4つの流派(協会)の幹事役が登場する。毎年、たのしみな落語会である。
今回の演者と演目
瀧川鯉橋 蔵前駕籠
三遊亭兼好 雑俳
古今亭文菊 鮑のし
立川談修 紺屋高尾
鯉橋は軽く「蔵前駕籠」をやって、残り時間はお座敷芸。ものまね、形態模写である。羽織を裏返しに着て、手ぬぐい、扇子、座布団で、恵比寿や大黒のまね。めでたい芸である。最後は鶴。扇子をくちばしのように見せる。似ている。最後に鶴のひとこえ。上手いものだ。
いつも書いているから、兼好、文菊はとばして、トリの談修。「紺屋高尾」だった。紺屋の職人が花魁に惚れるというおなじみの噺。談修はいつものように細部まで丁寧に演じた。誠実でまじめ。噺家らしくないと言うと叱られるかもしれないけど、そういう持ち味である。
「紺屋高尾」と似たような噺に「幾代餅」がある。骨格は同じ。どうちがうのかよくわからない。一方は紺屋、もう一方は搗き米屋の職人。なれそめが異なる。花魁の年期があけるのは来年の3月。もう一方は3月15日と日にちまで細かい。深いところで根本的な違いがあるのかもしれないけど、しろうとにはわからない。どうでもいいけど、気になると言えば気になる。
冒頭の権太楼、わたしより学年は一つ上。きょうの演者からすれば父親のような存在だ。