「夏の庭 The Friends」
相米慎二監督が亡くなったのは2001年、20年以上前になる。いまだ相米作品を熱く語る人は多い。海外での評価も広がっている。いくつかは4Kリマスター版ととなっている。
そのデジタル化された「夏の庭 The Friends」をアートセンターで観てきた。30年ほど前、1994の作品である。
この映画をわたしは観ていない。あのころは仕事で忙しかったので見逃した名作は多い。原作は、通勤電車の中で揺られながら読んだ記憶がある。
小学生の三人が、死に興味を持ち始める。死ぬとはどういうことか、人はどんなふうに死ぬのかといった疑問を抱く。近くの一軒家に住むおじいさんがもうすぐ死にそうだという声を耳にし、その家を見張ることにする。夏休み、サッカーの練習の合間に家を覗く。日々の行動を追う。最初は、見つかって追いたてられたりするが、そのうち、おじいさんの家に招かれるようになる。そして、荒れ果てた庭の草を抜き、花を植えたりするようになる。
おじいさんから、戦争体験や家族のことなどを聴いたりする。
おじいさん役は三国連太郎。共演者は、戸田菜穂、淡島千景。ちょい役で鶴瓶、江本明なども出ている。
相米監督作品には子役が多く登場する。子供のつかいかたがうまいと言われる。大の子供好きと思われるが、相米監督の弟子である足立紳は意外なことを語っている。映画の現場では子供たちとうまくいっていないというか、コミュニケーション不全のところがあった、と。
子供たちとの会話がうまくいかない。ところが、撮影となるとそれなりの指示をして、できあがってみれば上手く子供たちの演技を引き出していた。
そういうものなのか。クレーのカメラから俯瞰したショットが多い。子供たちは駆ける。走り回る。あらためて相米イズムを感じた。
ついでのひとこと
日本映画大学の卒業制作映画の上映会がイオンシネマであった。新百合ヶ丘ならではのイベントである。5本の短編(ドラマ2本、ドキュメンタリー3本)が上映された。驚いたのは、ドキュメンタリーの監督は全部中国からの留学生であった。二本は中国が舞台になる。
映画大学の学生の半分以上は留学生だと聞いていたが、まさにそれを裏付けるような上映会となっていた。レベルは高い。卒業生は日本に残るか帰国するか知らないけど、どこでもきちんとした映画づくりができるんじゃないかな。基礎はしっかり身につけている。